第1章 耳鼻いんこう科
第1節 耳鳴り
第1項 症状
耳鳴りは、内耳から聴覚中枢に至る全ての聴覚路の障害によって生じますが、耳鳴りの多角的検査法もなく、治療法も耳鼻科的には確立されていませ
ん。
第2項 治療法
一時期、鼓室(中耳)にステロイドを注入すると耳鳴りが止まる方法もありましたが、嘔気が激しく、現在では実施されていません。
第3項 治療例
発症2週間〜1ヶ月以内では8〜9割が完治しています。発症後、数ヶ月経った耳鳴りでも、その大きさは半分
程度にまで改善します。
第2節 耳閉(耳がこもる感じ)
第1項 症状
耳閉は臨床上よく遭遇する疾患ではありますが、エレベーターや飛行機の急激な昇降時、外耳に水が入ったとき、トンネル内への急速進入などで皆さん
は経験しているはずです。ツバの飲み込みや息こらえで鼓膜の位置が正常に戻ることもありますが、中耳炎の増悪、耳管狭窄などでは治りにくい疾患です。
第2項 治療法
耳管通気法といって、耳管(鼻腔と中耳を連動する気圧調整のための管)に陽圧を加えることにより治る場合もありますが、頑固な耳閉は、めまい・耳
鳴りを伴う場合もあり、これに対しては本ブロックがよく奏効します。鼓膜張筋と口蓋帆張筋を栄養している星状神経または顔面神経の枝でアブミ骨筋を支配し
ている動脈への交感神経ブロックをします。
第3項 治療例(M.Mさん)
注射を受けてしばらくしたら、スパーァーンというような感じで耳の通りも良くなり、その後、周りの音がうるさく感じられる位になりました。好きな
クラシックギターを弾けるようになり感謝しています。
第 3 節 蓄膿症
第1項 症状及び原因
蓄膿症は、副鼻腔炎ともいい、鼻の周囲の空洞部に膿が慢性的にたまり以下の症状を起します
。
・ 前頭部(ひたい)鼻部、頬部の不快感を感じ、集中力をなくします
・ はなじる(青っぱな)が鼻から出たり、鼻腔の奥から喉にたれて(後鼻漏)気管をふさいで苦しくなる
・ 頭痛、目の痛みを起す
・ 鼻炎、カゼ、気管支炎にかかりやすく、放置すると将来、喘息・慢性気管支炎等の病気になりやすい
原因は
・ 大気汚染
・ 幼少時の抗生物資の乱用、投薬
・ マンション家屋等の機密構造からくるダニ、ホコリ、等によるアレルギー性鼻炎からの症状悪化
・ 口呼吸による鼻腔内の酸素不足
・ 食生活(特に肉、油 摂取)の変化により、体内アレルギー物質が産生されることなどがあげられます
第2項 治療法
・ アレルギーの過敏体質を抑える皮下注射と抗ヒスタミン剤(1回/日)の内服投与。
・ マクロライド系又は抗剤投与と消炎酵素剤を1錠づつ内服。
第3項 治療例(D.Uさん)
先生からいただいたお薬を飲んでからしばらくして、スキッとした爽快感を得られるようになり、その後勉強に専念できるようになりました。来年は
受験なので、東大合格を目指して頑張っています。
第 4 節 めまい
第1項 症状
めまいは、中枢性(脳・脳幹・小脳の異常、あと聴神経腫瘍などが原因)と末梢性(主に内耳)に分けられますが、本ブロックの適応は末梢性のめまい
です。眩暈とも
いい、難聴、耳鳴りを伴う場合、メニエール病といいます。
第2項 治療法
内耳の前庭といわれる器官の機能障害なので、内耳の栄養血管である、迷路動脈に至る血管運動神経(交感神経)の興奮を本ブロックに
よりおさえて、当該動脈を拡張させ血流を改善させます。
第3項 治療例(SBさんより報告)
神経ブロックを受けた直後からスーっとなり、治りました。先生の許可が下りたら、今年は念願の富士登山に挑戦しようと思っています。
第2章 眼科
第1節 加齢性黄斑変性症
第1項 症状
加齢性黄斑変性症とは光が集まる黄班付近の網膜に栄養分を供給する血管から血液中の水分がにじみ出て、この水分が黄斑付近に溜まるか、又は血液そ
のものが溜ることで発症しま
す。光の信号がうまく伝わらず、ちょうど目の前に円形のレールが現れたような感じになり注視部が見えなくなる病気で、現在、眼科的には治療法がないとされ
ている病気です。
第2項 治療法
眼からの交感神経が直達する上頸神経部(又は星状神経節)を麻酔薬で遮断(交感神経節ブロックと
いいます)して網膜の動脈の血行を劇的に改善して、中心部の見えなくなった視野と視力を回復させます。ブロックの回数は週2回を4週、次月度は、週1回、
更に3カ月目以降は2週に一度で継続していきます。
第
3項 治療例(O.
Eさんからのご報告)
2年前から右側の目が中心
部が見えにくくなり、今ではぼんやりと見えるだけです。先生が東京都K市にある眼科のアルバイト医として来られたときに、このブロックの説明を受け、半信
半疑で翌週、治療を受けたところ、あろうことか、今まで暗かった視野が霧がはれたように明るくなり、目の前の物の輪郭が見えるようになりました。今後も先
生の指示に従いこの治療を続けていこうと思います。
第 2 節 飛蚊症
第1項 症状
変性した硝子体線維が浮遊し、その影が投影されたものが飛蚊症で、小さい黒い虫が飛んでいる様な感覚で、視野を残してもその方向についてくるの
で、非常にうっとおしい病態です。
第2項 治療法
内頸動脈から分岐する眼動脈の交感神経を遮断することにより、同動脈の血行が大幅に改善され、網膜にある桿体(かんたい)細胞が活性化さ
れ、受光量が増し視野が明るくなります。これにより硝子体内の浮遊物の存在が感じられなくなります。
第3項 治療例(M.Rさん)
時々、黒い点のようなものが見えていたのが気になっていたのですが、眼科検診の折りに先生に正直に話した所、この症状を無くすことを研究されてい
る事を知り、すぐに治療を開始しました。その結果、調子の良いときは気にかからなくなり、いつの間にか症状の事を忘れていました。そして、友人がこの飛蚊
症の事を気にかけている事を知り、教えてあげました。その後、友人も治療を受け、今では、友人と共に好きな絵筆を握って、キャンパスに風景画を描いていま
す。